「どうすればよかったか?」を見てきました。
この映画は、監督の藤野知明が、統合失調症に罹った姉と、同居する両親を長年にわたって撮り溜めてきた映像をドキュメンタリーとして構成した作品です。
藤野の姉は三年間浪人した末に医学部に進学しましたが、精神に変調を来し大声で叫ぶなど異常な行動を起こすようになったそうです。
家族は毎日のように喧嘩となり、事件に発展する危険を感じていた藤野は、成長した後にどこでも良いからと就職し、逃げるように家を出たとのことです。
藤野は両親に、姉に精神科の治療を受けさせようと繰り返し説得しますが、両親は頑なに拒否します。そして25年間、全く治療を受けさせない状況が続きました。
藤野が撮影した姉は明らかに目つきがおかしく、色々と話し掛けても無反応だったり、あるいは無表情のまま早口で意味不明な内容を喋り続けたりします。
そんな内容です。以下、ネタバレ有りです。
客観的に見ていると「早く治療を受けさせればいいのに」、「なんで受けさせないの?」と思うばかりです。
理由は分かりませんが、大正から昭和に掛けての時期に生まれた両親には、精神病や精神科に対して悪すぎる印象があったのかもしれません。
あるいは、発症当時の「家族の喧嘩」があまりにも酷く、両親のトラウマになっており、そのような状況に戻ることを恐れたのかもしれません。
その辺りは全く分かりません。
母親に認知症の症状が表れたことが契機となり、父親は姉を精神科に受診させることを受け入れ、薬物療法により姉の症状は大きく改善します。
社会生活は無理としても、家族との意思疎通はできますし、家事もある程度はこなせるようになります。無為に過ごした25年間は一体何だったのかと思わされます。
しかし、平穏な数年を過ごした後に姉は肺がんに罹ってしまいます。
姉が亡くなり、お棺に納められた映像も映されます。
家族としては、おそらく「もっと早く治療を受けさせ、充実した時間を過ごさせてやりたかった」という痛恨の思いがあるのではないかと思います。
ただ、赤の他人の私としては、「終わってしまえば、何が正しかった、間違っていたと考えても不毛であり、これが姉の人生だったのだと全てを受け入れるしかない」。
そんな心境になりました。
(備忘)
テアトル新宿のG列で見ました。スクリーンとの近さはちょうど良かったと思いますが、前列の席の人の頭でスクリーンの一部が隠れてしまうのが残念でした。
