「國民の創生」を見てきました。
D・W・グリフィス監督によるサイレント映画です。澤登翠氏と片岡一郎氏が交代で弁士を務めていました。
この映画はアメリカの南北戦争を題材としています。
冒頭、片岡氏は「日本人が戦争と聞くと第二次大戦を思い浮かべるように、アメリカ人にとっては南北戦争こそが歴史上の大きな悲劇である」と語っていました。
映画の公開は1915年ですので、南北戦争(1861〜65年)は約半世紀前、公開当時は南北戦争を経験した人も多かったと思われ、この映画をどのように受け止めたのか気になりました。
約3時間、二部制の映画です。第一部は南北戦争の勃発からリンカーンの暗殺までが描かれています。主には、同じアメリカ人同士が敵対し、殺し合う悲劇がテーマとなっています。
第二部は、戦争終結後の南部の混乱と再建が描かれています。
北部の白人政治家による「自由と平等」という理想とは裏腹に、南部では増長した黒人と理不尽に虐げられた白人が憎しみ合い、KKKが組織され殺し合いに至る経緯が描かれます。
グリフィス監督は、「イントレランス」で「人間の不寛容さ」がもたらした歴史上の悲劇を振り返り、同じ過ちを繰り返すなと訴えました。
それに先立つこの「國民の創生」では、アメリカの北部と南部の対立、白人と黒人の対立による悲劇を映像で再現し、争いの無い平和な社会を作り上げることを強く訴えています。
まあ・・、悪名高いKKKの「活躍」により、黒人たちが武装解除され、白人支配による争いの無い国家が誕生するという、現代の感覚では「あれ?」と思う面もあるのですが・・
歴史を振り返させられ、色々と考えさせられる作品でした。映画自体がとっても見応えがありましたし、澤登氏と片岡氏の生の活弁により、作品の世界に強く引き込まれた気がしています。すごく良かったです。
ちなみに、ヒロインのリリアン・ギッシュは丸みのある顔立ちで可愛らしいな、と思いました。
(備忘)
新文芸坐ではH列で見ました。スクリーンとの距離もちょうど良かったですし、スクリーンを少し見上げるような感じで、前の人の頭が邪魔ということもありませんでした。


片岡一郎氏が所有するリリアン・ギッシュの直筆サインが展示されていました。