行人日記@はてな

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「聖なるイチジクの種」

「聖なるイチジクの種」を見てきました。

主人公はイランの革命裁判所に勤める男性。彼は調査官に出世しましたが、反政府活動に参加した市民に対する死刑の起訴状に署名を強いられ、良心が痛みながらも「この国で生きていくためには仕方がない」と署名に応じ、心労を重ねていきます。

そんな折、ヒジャブの着用が適切ではないとして逮捕された女性が死亡した実際の事件が起こり、イラン国内で激しい反政府の暴動に発展します。この映画では、市民がスマホで撮影したと思われる、実際に起こった暴動の映像が沢山挿入されています。

主人公の彼は、何十人、何百人という、デモ参加者への死刑の起訴状に署名をせざるを得ず、心が蝕まれていきます。その一方で彼の二人の娘は、警察がデモを制圧するためにとった非道な暴力をSNSで知り、父親に対し政府を強く批難します。

映画の前半は、このようにイランの体制側で働く職員の苦悩がとてもリアルに描かれています。

そして中盤以降ですが、主人公の彼は、反政府集団から命を狙われる立場であることから、護身用として支給された拳銃を紛失してしまいます。詳しいことは分かりませんが、イランでは数年間の服役に処させられるおそれがある失態とのことです。

家の中で紛失したのですから、妻や二人の娘の誰かが関与していない筈は無く、彼は妻子に疑念の目を向けます。当初は紳士的ですが、一向に解決しない事態に猜疑心を募らせ、妻子をイランの尋問機関に掛けるなど行動がエスカレートしていきます。

この中盤以降は、男性が支配するイランの社会を主人公の家庭に投影した、(家族の物語としてはあまりリアリティが無い)やや寓話的なサスペンスとなります。

感想としては、日本から遠いし、そもそも分かりにくいイランという国の内情を知ることができて良かったと思いました。中盤以降も、日本に住む私にはピンと来ないのですが、女性に抑圧的なイラン社会に対する強烈な風刺として興味深いと思いました。

なお、この映画の監督は、この映画を撮影したことにより8年間の実刑判決となり、執行前に亡命したそうです。出演した俳優やスタッフの中には、イランで裁判に掛けられ状況が分からないままの人もいるそうです。

(備忘)

市川コルトンプラザのスクリーン3、G列で見ました。ややスクリーンが遠く感じ、E列がベストだと思いました。

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