行人日記@はてな

昼の休みに今日見る雲も 頼りない雲 流れ雲

「八甲田山」

午前十時の映画祭で「八甲田山」を見てきました。

明治35年に青森県の八甲田山で発生した、日本陸軍の雪中行軍で199名が死亡した山岳遭難事件を題材とした映画です。ノンフィクション作品ではなく脚色されています。

映画は、弘前の陸軍師団が、ロシアとの戦争が不可避な状況を鑑み、極寒地における戦闘の研究を目的に冬の八甲田山で雪中行軍訓練を計画するところから始まります。

あわせて、ロシアの攻撃で弘前~青森~八戸の輸送ルートが絶たれた場合を想定し、八甲田山を横断する輸送の可能性を調査するため、もう1隊の雪中行軍も計画します。

この2隊はそれぞれ弘前市と青森市から出発し、途中、八甲田山ですれ違う計画でしたが、青森市から出発した中隊が猛吹雪の中で道に迷ってしまう・・。そんな内容です。

(史実とはおおまかには同じですが、色々と異なっています。例えば両隊が八甲田山ですれ違う計画は実際には無く、エンタメ的な脚色のようです)

以下、ネタバレ沢山有りです。

私は、青森出発組が遭難の果てに隊員が続々と発狂し、凍死していく様を見ながら、「一体何が悪かったんだろう」、「どうすれば良かったんだろう」と思いながら見ました。

実際に猛吹雪の雪山で十分な装備や食料も無く迷ってしまったら、最早どうしようもないのではないか?この状況で正しい判断などそもそもあるのだろうか?と思いました。

弘前市から出発したもう1つの隊(映画では高倉健演じる大尉が指揮)も、途中遭難しかけるなどかなり危険な進軍だったそうですが、死者を出すことなく目的地の青森市まで到達しています。

ネットで両隊の違いを調べると、弘前出発組は雪中行軍訓練を重ねて雪山のリスクや必要な装備等を知っていたこと、地元の民間人を案内人として山中を進んだことなどが挙げられているようです。

つまり重大な被害を出した青森出発組については、組織の上層部も含めて雪山に関する知識が不十分であり、リスク認識が甘く準備にも慎重さが欠けていたということなのかな・・、と思いました。

この有名な八甲田山事件については、私はもっと調べなければ正しい教訓が得られないと思いました。この映画は、私にとって今後事件の原因や教訓を考えていくきっかけになったように感じています。

(補足)

ちなみに、映画では、

・上層部がそもそも無謀な雪中行軍を提案した。 →雪中行軍の指揮を命じられた、北大路欣也演じる中隊長はむしろ被害者。
・中隊長が指揮官なのに、随行した三國連太郎演じる大隊長がことごとく誤った判断で横から指揮を行った。 →三國連太郎が色々と悪い。

と、組織や、組織に属する人間が陥りがちな過ち、人間の愚かさという視点を強調するためでしょうが、上層部や上司を悪役に仕立てる印象付けをしていました。

映画が興行であることを踏まえるとこのような脚色や演出は仕方無いのでしょうが、実際の事件の教訓を、誤った形で観客に伝えてしまう問題も孕んでいると思いました。

(備忘)

京成ローザのイースト3、F列の席で見ました。丁度良いスクリーンとの距離だったと思います。

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