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「メトロポリス」(活弁付き上映)

映画「メトロポリス」を見てきました。

1927年に公開されたドイツのフリッツ・ラング監督によるサイレント映画で、今回は弁士の活弁付きで上映されました。

以下、ネタバレ有りです。

物語は、未来都市「メトロポリス」が舞台です。メトロポリスは極端な階級社会であり、地下では多数の労働者が心を失った機械のように働かされ、地上で暮らす資本家により支配されています。

地下には心優しい女性マリアがおり、労働者らを慰め希望を与えていますが、資本家はマリアを危険分子とみなし、マリアにそっくり似せたアンドロイドを送り込んで労働者たちの分断を図ります。

しかし、アンドロイドは資本家の意図に反し、地上では資本家の子息らを享楽に溺れさせて堕落させ、地下では労働者らの反乱を煽動し、メトロポリス全体を混乱に陥れる・・、そんな話です。

この作品では、「人が人を支配する社会はやがて崩壊する」、「頭脳(資本家)と手(労働者)は、心により結び付いていなければならない」という、階級社会を否定するメッセージが強く訴えられています。

(あくまで資本家と労働者の調和による階級格差の是正を訴えているのであって、社会主義革命を訴えているわけではありません)

映画が公開された1927年当時、ドイツは第一次大戦の敗戦後の賠償やハイパーインフレ、失業により、多くの労働者が困窮に陥り、富裕層との階級格差が激しかったそうです。

そんな社会に対する強い問題意識があったため、フリッツ・ラング監督は上のように訴えたと思われますが、メッセージには普遍性があり、1世紀近く経った現代社会にも通ずるものだと思いました。

また、この映画は映像表現が凄いと思いました。未来都市やアンドロイドの造形であったり、労働者たちの陰気で重々しい群像であったり、徹底的に映像表現にこだわり抜いた印象を受けました。

このような映画史上の傑作を劇場で見られて、GWの締めくくりとしてとても良かったと思います。

(余談)

メトロポリスの地上には、「YOSHIWARA」という、今で言う風俗施設があります。吉原から取ったネーミングでしょうが、「え?なんで??」と、意外過ぎて笑ってしまいました。

(余談2)

活弁については、今回は少し違和感がありました。後半を担当された方の活弁は、これまでも何度か聞いて作品の世界にとても引き込まれたものですが、今回に限ってはやや聞き苦しく感じました。体調でも悪かったのでしょうか。


未来都市メトロポリス。設定は2026年という説もあるようです。


地下にはメトロポリスの都市機能を制御する巨大な機械があり、多数の労働者たちが休む間もなく働かされています。


そんな労働者たちはまるで魔王の口に飲み込まれる生贄のよう。


地下の仕事場に向かう労働者たち。とても陰気です。


労働者たちの唯一の希望であるマリア。彼女は地下も地上も分け隔て無く、人間はみんな兄弟であると説きます。


その一方で、労働者たちの団結を妨害するため、アンドロイドを送り込む資本家。


アンドロイドにはマリアの容姿が転写されます。1927年の映画とはとても思えない映像です。


偽マリアは地上では、七つの大罪を具現化した存在として、資本家階級の子息を堕落に導き、、


地下では労働者に反乱を煽ります。それにしてもすごい人数。


謎の施設、YOSHIWARA。


劇場のロビーにはアンドロイドの複製が飾られていました。

(備考)

新文芸坐のH列のほぼ中央の席で見ました。上映一週間前の0:00から予約が始まりましたが、あれーっ?という間に予約が埋まっていきました。そんな中でいい席が取れ、運が良かったです。

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