行人日記@はてな

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「新世紀ロマンティクス」

「新世紀ロマンティクス」を見てきました。

中国の主に山東省の大同、重慶市の奉節を舞台に、2001年、2006年、そして2022年における、主人公の女性と恋人の男性の別れと再会の様子が描かれます。

この作品は、男女の恋愛を軸とはしているもののストーリー性は強くありません。

むしろ、21世紀の幕開け、長江の三峡ダム開発、コロナ禍など、それぞれの年の中国の象徴的な出来事をドキュメンタリー風に描き、それにより21世紀の劇的な近代化がもたらした、中国の社会や人々の変化が表現されています。

この作品の特色は、2001年、2006年に撮影された同じ俳優陣による別の映画の未使用映像や、監督が撮りためてきたドキュメンタリー映像、そして新たに撮影した現代の映像をつなぎ合わせて、一つの映画を作り上げていることです。

私には正直、このような実験的な手法を取り入れた、ジャ・ジャンクー監督の意図が図りかねました。

素直に考えれば、それぞれの年のドキュメンタリー映像を用い、さらに作品の中で俳優らに実際に年齢を重ねさせることにより、それぞれの年の中国社会や、時間の流れというものををリアルに表現しようと意図したと思われます。

その一方で、上記とは真反対の解釈ですが、もともと一つの映画を作るために撮影されたわけではない映像をつなぎ合わせることによる不自然さや違和感によって、どこか非現実な雰囲気を作り出しているとも思われました。

どちらの解釈もできると思いますが、主人公の女性が作品を通じて一言もセリフを発しないというミステリアスな演出もあり、私にとっては後者の印象が強く、21世紀の中国社会の変化を、幻想めいたオブラートに包みながら描いているように感じました。


Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下。アーティスティックな雰囲気の映画館でした。

(備忘)

Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下の、7階のスクリーンのG列で見ました。スクリーンとの距離はちょうどよかったです。

質感が良い座席が使われているなど、全体的に、映画を見る環境としてかなり良い方の映画館だと思いました。

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