行人日記@はてな

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「黒川の女たち」

那珂市でひまわりを見た後、同じ那珂市のミニシアター「あまや座」で「黒川の女たち」を見て来ました。

岐阜県に第二次大戦中に存在した黒川村では、約600名の村民を開拓団として満州に移住させたそうです。

しかし開拓団とは名ばかりで、実態は満州人の家や田畑を安く買い叩いただけで、関東軍では、開拓団を対ソ連戦に備えた人や物資の供給基地と位置付け、国境周辺に配置していたそうです。

この映画は、日本が敗戦し、多くの開拓団が集団自決する中、15人の若い女性をソ連軍に献上することで約400人が日本に帰国できた、黒川の歴史がドキュメンタリーとして描かれています。

黒川では、戦後何十年間にもわたり、このような歴史上の事実を封印してきたそうです。そこには、「女性の恥を隠す」という心情と、黒川の歴史の汚点を隠す意図があったようです。

この映画は、そんな黒川開拓団の人々を生かすために犠牲になった女性の数名が、これを「無かったこと」として歴史の闇に葬ってはいけないとして声を上げる姿が描かれます。

犠牲となった女性たちは、一晩で何人ものソ連兵の『接待』をし、その後、零下数十℃にもなる満州で、妊娠や性病を恐れてホースを使って冷水で体内を洗浄したそうです。その過酷さは想像を超えます。

終戦から一年後、おそらく運が良かったのだと思いますが、黒川開拓団は日本に帰還できたそうですが、犠牲となった女性たちは『露助にやられた汚いもの』として黒川の地を追われたそうです。

映画では、『満州にいた頃よりも、日本に帰ってからの方が悲しかった』という手記が紹介されます。そんな境遇で、どうやって家庭を持ち、生きてきたのかはこの映画でも語られませんでした。

映画では、黒川に「乙女の碑」が立てられ、遺族会が、碑文の設置を巡り「女性の恥だから設置すべきでは無い」、「恥とすることがおかしい」という葛藤の末、全てを明らかにする選択をする様が描かれます。

非常に難しい選択ですが、黒川の遺族会は、戦後70年を過ぎてようやく、封印を解除し、当時の満州での黒川の悲劇や過ちを赤裸々に語る選択をしたということです。

映画では、県内の女子生徒たちが、満州における黒川の女性の犠牲を学ぶ様子が描かれます。戦争となれば彼女らも同じ境遇となるかもしれず、歴史を語り継ぐ大切さを感じました。

この映画では、様々な立場の人たちの複雑な思いが絡み合っていて、とても文字では伝えきれません。

ですが、「自分や子供や孫たちの恥になるかもしれない」、「過去を隠している人たちの恥を暴くかもしれない」といった葛藤の中、真実を語った女性たちの思いには、私たちはきちんと向き合うべきだと感じました。

これは私の想像ですが、満州における黒川のような悲劇は少なくは無く、いまだ封印されているのでは?と思いました。この映画で明らかにされたのは、もしかしたら氷山の一角で、歴史に封印されたタブーはまだまだあるのでは?そんな思いを抱きました。

なんにせよ、人類が戦争を行う以上このような犠牲を無くすことは難しいのですが、少なくとも私たちに出来ることは、このような声を上げた女性やその子孫たちを差別的な目で見るのでは無く、歴史の汚点を明かしてくれた勇気に敬意を払うことだと思いました。


那珂市のあまや座。スーパーの敷地内にあります。ミニシアターは新宿や渋谷など都会ばかりに多いですから、茨城県にこんなミニシアターがあるなんて意外でした。

ちなみにB-4席で見ました。スクリーンに対してほぼ中央で、目線の高さも丁度良かったです。

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