行人日記@はてな

昼の休みに今日見る雲も 頼りない雲 流れ雲

「鬼火」

ルイ・マル監督の「鬼火」を見ました。

アルコールと自殺願望に取り憑かれた男の、最期の数日間を描いた作品です。

自殺を決意した主人公は、かつてパリの喧噪の中で、陽気に過ごした昔の友人や恋人の元を訪れます。

友人らの台詞から推測すると、かつての彼はハンサムで陽気で、パリでも一際目立つ存在だったようです。多くの女性と恋愛し、毎晩のように友人らと飲み明かして随分無茶をしていたようです。

そんな彼ですが、アメリカ人女性と結婚してニューヨークへ渡り、そこで何があったのか分かりませんが、酒に溺れ、一人フランスに帰国して病院での療養生活を余儀なくされました。

久しぶりに会った友人らは、家庭や仕事に生きがいを見いだす者、麻薬に溺れる者と様々ですが、視野が極端に狭まっている彼には友人らの価値観を受け入れることができず、疎外感を募らせます。

友人らは死の匂いがする彼を心配して気遣うものの、鬱に陥った彼には伝わりません。パリの街を歩く美しい女性やそれを冷やかす若者も、ガラス一枚隔てたような現実感の無い存在に映ります。

そんな話です。「人間は死ぬことばかり考える精神状態に陥ることもある」ことを思い出させられました。全編が死に包まれたとても不吉な作品だと思いました。

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