午前十時の映画祭で「無法松の一生」を見ました。
前にDVDで見たことがありましたが、折角映画館で上映されるというので再見してきました。
「日本にはこんな時代もあったんだな」と思いながら見ました。映像が修復されたこともあってか、明治の九州小倉の人々の様子が、まるで記録映画のようにリアルに感じられました。
それにしても松五郎を演じた阪東妻三郎は素晴らしい。吉岡未亡人の息子に我が子のように愛情を注ぐ、そのひとつひとつの表情や演技に優しさや厳しさがあり、とても感じ入りました。人間「富島松五郎」を見事に演じています。
第二次大戦中、人力車の車夫でしかない松五郎が軍人の未亡人に恋情を抱く点が不謹慎とされ、とても不自然な形にカットすることを余儀なくされた映画です。
今となっては全編を見ることができません。素晴らしい傑作だと思うだけに、あまりにも残念です。