舞浜のシネマイクスピアリで「007は二度死ぬ」(4Kレストア版)を見てきました。
あらすじは、アメリカとソ連が打ち上げた有人人工衛星が、立て続けに謎の宇宙船に遭遇し行方が分からなくなります。米ソは互いに相手の仕業と主張し、冷戦の緊張が一気に高まる。そんな中、英国は謎の宇宙船が日本に着陸したという情報を掴み、ジェームズ・ボンドを日本に派遣する・・そんな話です。
この映画は007シリーズの番外編とでも言うべき、前作までのサスペンス路線とは一線を画した、かなり漫画的な作品です。
例えば、冒頭、ボンドは銃撃を受けて死亡します。しかしそれは「日本でボンドを自由に行動させるため」の英国政府による偽装でした。そうまでしてボンドを極秘裏に日本に潜入させたにも関わらず、なぜかボンドは行く先々で敵の襲撃を受けます。死を偽装した意味あったんかーいという感じです。
また、今回の事件は犯罪組織スペクターの仕業なのですが、その目的は「米ソに全面戦争をさせ、2大国が滅んだ後の世界を支配するため」というものです。前作まで、スペクターの行動原理は金儲け(ビジネス)だった筈ですが、今作では一気に漫画の世界に突入します。オースティン・パワーズのDr.イーブルと変わりません。
というわけで、ツッコミどころだらけで真面目に語るほどのストーリーでは無いのですが、この作品が面白いのは「日本」をとてもクローズアップしているところだと思います。
この作品が公開されたのは東京オリンピックの3年後の1967年ですが、当時の欧米では日本に対する関心がとても高かったのでしょうか?大相撲、姫路城、神前式、忍者、海女など、外国人受けしそうな映像がとても多いです。この映画を見た欧米人たちは、日本を観光したような気分を味わえたのかもしれません。
日本人にとっては、ここまで注目されるのは嬉しいようなこそばゆいような不思議な感じがしますし、日本の秘密情報機関(公安?)の拠点が東京地下鉄の奥深くにあったり、そのボスが丹波哲郎であったり、戦闘部隊が忍者集団であったりと、「さすがにそれはない」と呆れ半分な面もあるのですが・・。
特筆すべきはボンドガールの若林映子だと思いました。ビデオで見たときはあまり印象に残らなかったのですが、映画館で見ると、日本人離れしたくっきりとした顔立ちで美しさが際立っていました。
というわけで、トンデモ作品としてそれなりに楽しめた007映画でした。
とってもコミカルな007作品でした。
円谷プロか?と思わせる特撮。
ボンドの偽の葬儀。タイトルが「二度死ぬ」だからって無理して一度死なせなくてもいいと思うのですが。ちなみにボンドの表向きの肩書きは海軍中佐なので水葬されています。
英国政府の日本駐在員との接触場所は両国国技館。極秘の接触の筈なのに大柄なボンドはかなり目立っています。
ボンドガールの若林映子。ソフィア・ローレンのようなくっきりとした目が印象的です。
日本側のカウンターパートは丹波哲郎。当時世界的に人気絶頂だった007映画でも臆さない肝の太さはさすがです。
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モーリス・ビンダーによる日本情緒に満ちたタイトルシーケンス。ナンシー・シナトラが歌う主題歌が私はとても好きです。
ディズニーランドに隣接するシネマイクスピアリ。夢の国で旧作が上映されているのは不思議な気がします。