行人日記@はてな

昼の休みに今日見る雲も 頼りない雲 流れ雲

「白髪鬼」

先日、黒岩涙香の「白髪鬼」を衝動買いしました。

黒岩涙香は、明治時代に沢山の海外小説を日本人向けに翻案した人です。「噫(ああ)無情」(レ・ミゼラブル)、「巌窟王」(モンテ・クリスト伯)など、黒岩涙香による邦題はとても印象深いです。

この「白髪鬼」もイギリスの小説「ヴェンデッタ(復讐)」の翻案です。名前のとおり復讐の鬼と化した男の物語です。

私は黒岩涙香の小説は、翻案ではないオリジナルの「無惨」を読んだきりです。明治時代の探偵小説なのにとても面白くて、文語体で書かれた文章が慣れるとリズムが心地良く、魅了されたのを覚えています。

江戸川乱歩も黒岩涙香に傾倒していたことが有名で、涙香が翻案した「幽霊塔」を再翻案していますし、この「白髪鬼」も江戸川乱歩が昭和に再翻案しています。

私は江戸川乱歩の「白髪鬼」を高校時代に読み、乱歩の蠱惑的な語り口や残酷描写に惹き付けられ、面白くて面白くて何度も繰り返し読みましたし、元となった涙香版も是非読んでみたいと思っていました。

というわけで、それから30年以上経った今、衝動買いしてしまいました。ここ数年はまともに小説を読んでいないので、ちゃんと最後まで読めるか不安だったりしますが、まあちょいちょい読んでみようと思います。

「行人」

このブログのタイトルの「行人日記」と私のハンドルのwayfarerは、夏目漱石の後期三部作の2作目、「行人」(英訳のタイトルが「The Wayfarer」)から取っています。

夏目漱石の前期三部作(「三四郎」「それから」「門」)が、現実の出来事に対する葛藤が描かれているのに対し、後期三部作(「彼岸過迄」「行人」「こころ」)は、他人からは見えづらい内面の苦悩を抱えた人物が描かれています。

特に「行人」は、気難しく家族からも疎まれている知識人の主人公が、心を許せる相手が全く無い中で人間不信に陥り、追い詰められて精神状態が破綻寸前になって終わる・・そんな話です。後期三部作の中では、最も凄絶な苦悩が描かれています。

私は高校の頃に夏目漱石の代表的な小説をいくつも読みましたが、この「行人」は全く他人のこととは思えず、何度も繰り返し繰り返し読んで、アラフィフになった今でも自分の原点のように感じています。

www.aozora.gr.jp

「細雪」

谷崎潤一郎の「細雪」の古本を買いました。

私は「細雪」を高校生の頃に読みました。第二次大戦前、まだ世の中が不穏な空気に包まれる前の、大阪の旧家の四姉妹の日常を描いた小説です。文学小説というより大衆小説的で、古き良き時代を描いた物語としてとても華やかで面白く、文庫で3冊の長編ですが夢中になって読んだのを覚えています。

今回買ったのは、1983年に映画化された際の、岸惠子、佐久間良子、吉永小百合、そして古手川祐子が四姉妹を演じた写真をカバーとした文庫本です。四人とも私の好きな女優で、高校生の頃にも古本屋でこのカバーの文庫をたまたま見つけて買い、「奇麗だなー」と思ってとても大事にしていました。

その後、引っ越しを繰り返す中で捨ててしまい、勿体ないことをしたと残念に思っていたところ、今回たまたまネットオークションで見つけたので買った次第です。

今はこれだけ長い小説を全編読む根気は残っていませんが、時々つまみ食いするように、ところどころ読み返してみたいなと思います。