行人日記@はてな

昼の休みに今日見る雲も 頼りない雲 流れ雲

「白髪鬼」

先日、黒岩涙香の「白髪鬼」を衝動買いしました。

黒岩涙香は、明治時代に沢山の海外小説を日本人向けに翻案した人です。「噫(ああ)無情」(レ・ミゼラブル)、「巌窟王」(モンテ・クリスト伯)など、黒岩涙香による邦題はとても印象深いです。

この「白髪鬼」もイギリスの小説「ヴェンデッタ(復讐)」の翻案です。名前のとおり復讐の鬼と化した男の物語です。

私は黒岩涙香の小説は、翻案ではないオリジナルの「無惨」を読んだきりです。明治時代の探偵小説なのにとても面白くて、文語体で書かれた文章が慣れるとリズムが心地良く、魅了されたのを覚えています。

江戸川乱歩も黒岩涙香に傾倒していたことが有名で、涙香が翻案した「幽霊塔」を再翻案していますし、この「白髪鬼」も江戸川乱歩が昭和に再翻案しています。

私は江戸川乱歩の「白髪鬼」を高校時代に読み、乱歩の蠱惑的な語り口や残酷描写に惹き付けられ、面白くて面白くて何度も繰り返し読みましたし、元となった涙香版も是非読んでみたいと思っていました。

というわけで、それから30年以上経った今、衝動買いしてしまいました。ここ数年はまともに小説を読んでいないので、ちゃんと最後まで読めるか不安だったりしますが、まあちょいちょい読んでみようと思います。