紀伊國屋ホールで上演された、澤登翠(さわと みどり)氏の活弁リサイタル「女郎蜘蛛(アトランティード)」を観てきました。
1921年に製作され大ヒットしたというフランスのサイレント映画「女郎蜘蛛」を、生の活弁と演奏を聴きながら鑑賞する催しで、「映画」×「ライブ」という感じでした。
物語は、アフリカの北部から西部がフランス領だった20世紀初頭。フランスの二人の軍人が、まだ西欧人には未踏の地であったサハラ砂漠奥地の探検に行くものの、行方不明となってしまいます。
フランス軍による捜索の末、一人が砂漠で錯乱状態となって発見されます。サハラで二人は何を見たのか、もう一人の軍人はどうしているのか・・?そんな謎が少しずつ解き明かされていきます。
以下、ネタバレ有りです。
サハラ砂漠の奥地には、伝説のアトランティス帝国の末裔とされる不老不死の女王が治める、緑に溢れた豊かな土地「アトランティード」がありました。二人の軍人はそこに監禁されてしまいます。
アトランティードの女王は、他の土地から男を迷い込ませては己れの愛人とし、飽きれば殺すか狂わせて自殺させる、まさに女郎蜘蛛のような女で、二人にも女王の毒牙が迫る・・、そんな話です。
映画自体は、昔の作品にありがちですが、現代の感覚からするとテンポが遅く、話がなかなか進まなくてとても疲れてしまいました。約3時間の上演時間は、正直言えばツラかったです。
ですが一方で、神秘、怪奇、妖艶と、面白い要素が詰まった物語だとも思いました。またこの映画は、ショッキングで美しい印象的な映像が多く、言い尽くせない魅力がある作品だと思いました。
作品の良さに加え、生の活弁と演奏が付いた上演は臨場感が半端なく、現代の映画よりもむしろ引き込まれました。一流の弁士と演奏家たちが語って演奏してくれる、贅沢な時間だったと思います。

(蛇足)
この上演会は「やけに観客のマナーが悪いな」と思いました。
遠慮無い大きな咳を何度もする人、ガサゴソと音を立てながら袋から何かを取り出す人、会話をする人。スマホのバイブ音や通知音も聞こえました。
もちろん全体的にそんな雰囲気ということではなく、特定の人によるものと思いますが、マナーが悪い人が何人もいることにちょっと驚いてしまいました。